研究紹介

高温超伝導の発見とその後15年を越える研究の流れは、新物質の発見が如何に物性物理学に大きなインパクトを与えるかを如実に示しました。その波紋は超伝導研究のみならず、強相関電子系一般における局在-非局在の概念の確立や磁性と伝導性の興味深い相関の研究へと大きな拡がりを見せています。われわれが目指すのは新物質探索を通して未知の物理現象を見出し、物性物理学の新しい方向を切り開くことです。さらに一歩進んで新しい機能や特性を有する「役に立つもの」を世に送り出したいと日夜研究に励んでいます。

廣井研究室 研究紹介

 

当研究室で発見された新超伝導体

メッセージ

無数の電子が互いに引き合い反発しあい、時には想像を越えた動きをする。まるで人にも似た、物質の個性をそこに見ることができます。

30歳前に小さなダイヤモンドの指輪を買った時、その中にカーボン原子が無限に規則正しく並んでいるのを想って感動しました。自然が作り出す結晶の美しさには神々しいものがあります。そこに無数の電子が加わってくると面白い物理現象が現れます。 互いに相互作用しながら、ある時には反発し、ある時には引き合って、様々な相転移を引き起こすのです。その最も顕著な例が超伝導という量子現象です。一方、無数のスピンの集合が、絶対零度に向かってもふらふらしていることが起こります。そのような量子力学的「液体」状態を知るための答えは得られておらず、大きな謎として残されています。

物質系専攻を志す学生へ

われわれは、様々な物質を合成してその基礎物性を評価することにより、超伝導や量子磁性などの面白い物理現象に関わる謎を解くことを目指しています。さらに、室温を超える転移温度を有する超伝導や、誰も観測したことのない未知の物理現象を発見することを目指して、全く知られていない新物質の探索を強力に推し進めています。われわれの夢は、皆さんがあっと驚くような物質を世に送り出すことです。

プロフィール

廣井 善二 教授

廣井 善二 教授

1983年 京都大学理学部化学科卒業

1987年 京都大学大学院理学研究科 博士後期課程中途退学

1987年 京都大学化学研究所文部技官

1992年 京都大学化学研究所助手

1995年 京都大学化学研究所助教授

1998年 東京大学物性研究所助教授

2004年 東京大学物性研究所教授

学生の声

石川 孟

石川 孟 さん

廣井先生は普段から明るく、研究のこともそれ以外のことも学生とよく話をします。ミーティングでは研究について親身に相談に乗っていただき、さまざまな助言をいただくのでとても勉強になります。廣井研究室は、各自が自由に、自分のペースで研究に取り組んでいます。研究では、新物質の合成や高品質な単結晶を用いた物性測定を通して新しい物理現象を発見し、物性科学の新しい研究分野を切り開いていきたいと思います。


物質系専攻を志す学生へ

物質系専攻には物理系、化学系、材料系など様々な研究室があり、物質科学について幅広く学ぶことができます。ここで学んだ知識や考え方は社会に出てからきっと役に立つと思います。柏キャンパスにはすばらしい実験設備と研究に適した環境が整っているので、充実した研究生活を送ることができます!

研究室訪問

  • 04-7136-3445
  • 277-8561
  • 千葉県柏市柏の葉5-1-5
  • 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻
  • 廣井善二教授研究室
  • hiroi@issp.u-tokyo.ac.jp