研究紹介

眞弓研究室では、高分子をはじめとしたソフトマターの物性発現機構の解明を目指している。例えば、近年ナノ・分子レベルでの構造制御により高分子材料の機械強度は飛躍的に向上しつつあり、そのような高強度高分子材料は、人工関節や人工血管などの医療材料、ソフトロボット用のアクチュエーター、車・飛行機などに用いる構造材料としての応用が期待されている。我々は、高強度高分子材料に対して、中性子・X線小角散乱法および中性子準弾性散乱法によって変形下におけるナノ構造・ダイナミクスの計測を行っている。高分子材料は多成分で構成されていることが一般的であるが、中性子散乱法を用いると、重水素化ラベリングによって各構成要素を選択的に観察することが可能となる。散乱法によって明らかにされた階層的構造・ダイナミクスとマクロな力学・破壊挙動との相関を理解するために分子動力学シミュレーションも駆使し、強靭化の分子論的メカニズムを解明するとともに、新規材料設計指針の探索を行っている。

眞弓研究室 研究紹介

 

高強度ゲルの延伸に伴う小角散乱パターンの変化

眞弓研究室 研究紹介

 

高強度ゲルの亀裂進展に伴う応力分布

メッセージ

きっかけがあれば、マインドは変わる。失敗の中にひとつでも成功を掴んで、自信をつけて外に出ていくことここが、人生を切り開くための自力をつけていく場になるといい。

 勉強より新聞部で原稿を書くことが好きだった高校生の私が、理系に進んだ理由は、実験をしたり、最先端の科学に触れる経験をしてみたいと思ったからです。特に物理は、原理が明確にあって、スタート地点が決まれば未来はこうなるはずということが、簡単な言葉で説明されていて面白いと感じ物理の世界に進みました。恩師の先生は、学生の熱意に応えてくれて、挑戦する機会を与えてくれました。うまくいかないことも多かったのですが、チャレンジすることをポジティブに受け止めてもらえた。それは今、私自身の姿勢として受け継がれています。高分子は、医療、ロボット、車、飛行機などに用いる先端材料としての応用が期待され、ちょっとした工夫で面白い物質が出てくる分野です。高分子が発現する複雑な現象の本質を見出し、先端的な材料開発に貢献していきたいと考えています。

物質系専攻を志す学生へ

加速化していく時代の流れに向かって、皆さんが新しいことに飛び込んでいくために、まずはベースとなる学問の基礎をしっかりと学んで欲しい。失敗することは多いです。それでもめげずにチャレンジして、着実に堅実に自力をつけてください。その上で、新しいことを楽しみ、枠に囚われずアグレッシブに挑戦して欲しいと思います。

プロフィール

眞弓 皓一 准教授

眞弓 皓一 准教授

2009年 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 伊藤・横山研究室 日本学術振興会特別研究員 (DC1)

2012年 ESPCI ParisTec Laboratoire SIMM/PPMD CNRS博士研究員

2014年 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 伊藤・横山研究室 助教

2018年 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 伊藤・横山研究室 特任講師

2001-2003年 大阪大学 蛋白質研究所 蛋白質機能評価研究部門 客員教授

2020年 東京大学 物性研究所附属中性子科学研究施設 准教授

学生の声

劉 暢

劉 暢 さん

眞弓先生には、博士課程の学生の頃から指導いただいており、ミーティングなどで直接議論をしながら研究を進めています。眞弓先生は、学生が自分の好きな研究テーマを設定することも歓迎されており、自由な雰囲気で楽しい研究生活を送っています。研究では、中性子・放射光の大型施設に行く機会もあり、これまで誰も発見出来ていなかった現象を見つけられた時は嬉しかったです。


物質系専攻を志す学生へ

物質科学は、物理、化学、工学といった様々な研究要素が入り組んだ学問で、分野横断的なアプローチが必須です。物質系専攻には、様々なバックグラウンドを有する研究室が集まっており、意欲があれば物質科学に関する幅広い先端研究について学ぶことができます。

研究室訪問

  • 04-7136-3418
  • 277-8561
  • 千葉県柏市柏の葉5-1-5
  • 東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻
  • 眞弓皓一准教授研究室
  • kmayumi@issp.u-tokyo.ac.jp