メッセージ
とことん会話を重ね、とんがった研究をする。そして、人類の未来に、大きな役割を担う材料、社会に貢献できる材料を作ることが、私たちの誇りです。
研究を始めた頃今でも忘れられない実験を経験しました。それは、船底にムラサキイガイやフジツボが付着するのを防止する塗料の開発がテーマでした。付着生物を忌避するような分子設計を考え、合成した高分子材料を、生きたムラサキイガイと一緒に海水槽に沈めます。数時間後、サンプル片を引き上げた時です。狙った通り、付着を抑えるような材料が見つかったのです。その時の喜びは今でも忘れられません。この経験が、実用化を志向した基礎研究に取り組むきっかけになりました。 当時は、生物が付着しない材料を目指していましたが、生物の知恵に倣った接着材料などの開発に取り組んでいます。そして今、私たちの研究室では、超分子や高分子を中心とした次世代構造材料の研究に取り組んでいます。自動車や飛行機を中心として、異なる物性を持った構造部材を適材適所に組み合わせるマルチマテリアル化が進んでいます。 中でも、様々な機能を自在にデザインできる高分子材料に対する期待は非常に大きいです。そこでは、新しい機能を生み出す分子デザイン力と、材料の素性を知り尽くす物性眼を兼ね備えた人材が求められています。皆さんが作り出した材料で、世の中をあっといわせる「とんがった研究」をしてみませんか?
物質系専攻を志す学生へ
「研究成果は会話の数に比例する。」これは、私たちの研究室の連携先である物質・材料研究機構に掲げられた言葉です。物質系専攻では、材料物性に関する最高の研究環境と高度な専門知識を持った仲間や教員が待っています。国際色豊かなキャンパスの中で、幅広い分野の研究者と交流することで、これまでにない新しい材料のアイデアが思い浮かぶかもしれません。会話こそイノベーションの源泉です。