研究紹介

絶対零度近くまで冷却すると何が起こるか?絶対零度ではあらゆるものは凍りつくわけだから、普通に考えると何も面白いことは起こらないように思う。ところが、1911年、オランダのカマリンオンネスは、ヘリウムの液化に成功することで1ケルビンという低温領域に人類で初めて到達し、そこで金属の電気抵抗が突然0になるという超伝導現象を発見した。その後、液体ヘリウムの超流動転移、希薄アルカリ気体のボース凝縮など様々な量子凝縮相が極低温で発見された。 室温では熱揺らぎに隠れてしまって見えない、多彩で不思議な物理現象が低温領域に隠れていたわけである。我々の研究室ではこのような極低温における量子凝縮現象に興味を持ち、技術的に可能な限り低温まで精密測定する事でその物性を明らかにする研究を行っている。 特に、二次元三角格子やカゴメ格子といった幾何学的フラストレーションをもつ磁性体において近年新しく発見された量子スピン液体状態は新しい量子凝縮相となっている可能性があり、その極低温における素励起の解明に力を入れて研究を進めている。

山下研究室 研究紹介

 

図1:物性研の核断熱消磁冷凍機。超低温(1 mK)・高磁場(10 T) の実験が可能

山下研究室 研究紹介

 

図2:Cd カペラサイト石という反強磁性カゴメ絶縁体で観測された熱ホール伝導率の温度依存性。青く透明な絶縁体であるにもかかわらず、熱流が磁場で曲げられている。

メッセージ

まだ誰も知らないことに向かっていくと、面白いことが起きる。夢中になれるテーマを見つけてそのパズルを自分の力で解いてみよう。

私は学生時代に超流動ヘリウムの研究をしていました。ヘリウムは極低温で超流動という不思議な性質を示します。粘性無く流れたり、コップにいれると壁をよじ登ってコップからこぼれてしまったりするのです。これらの現象は量子力学によって理解できるのですが、量子力学は直観的にわかりにくい世界だと学生時代に思いました。極低温の世界では物質の量子力学的性質がマクロな現象として現れる場合があり、それをよく理解したいと思っているうちに、それが仕事になりました。 今現在は、幾何学的フラストレーションなどの効果によって量子揺らぎの影響が強くて、通常現れる自明な状態が安定でなくなったときにどのような状態が現れるのか研究しています。様々な物質でその基底状態を極低温まで調べて、我々が未だ知らないような状態が現れる可能性を探索しています。

物質系専攻を志す学生へ

どんな研究も新しいことを発見するためには、今まで難しいと思われていたり、だれも試みていないことなどに挑戦しなくてはいけません。答えを知らない問いに取り組むことは、自分の能力を磨くうえでも非常にいい経験になります。物質系専攻にはそのような挑戦ができる研究室がたくさんありますから、ぜひ志望してみてください。

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