メッセージ
二十歳台に受けた感動は、科学においても一生の宝になります。
私が、その発見に感動を受け、現在まで研究を続けているのは「準結晶」です。これは、1984 年の最初の発見から27 年かかって、「結晶」、「アモルファス」と並ぶ固体構造の大きな概念として確立し、2011年のノーベル化学賞に輝きました。 その「準結晶」には「半導体」と「絶縁体」が、まだ見つかっていません。これらが存在するかどうかは、固体物理学の基本的な問題として残されています。 また、私たちが取り組んでいる高性能の「熱電変換材料」の開発は、エネルギー問題や環境問題の解決に貢献できるキーテクノロジーを生み出す可能性があります。この材料の有力な候補として、「半導体準結晶」を提案しています。
物質系専攻を志す学生へ
物質系専攻は、「物理学」、「化学」、「材料学」を融合させた新しい学問分野を構築しようとしています。新領域創成科学研究科には、さらにかけ離れた分野を融合させることを試みる仕掛けもあります。学部で、それぞれの専門分野を勉強してきた皆さんは、物質系専攻でより広い視野を身に着けて下さい。他の研究科では得られない、異分野に触れた経験の蓄積は、すぐに皆さんの修士論文や博士論文の研究に生かされるとは限りませんが、将来きっと、皆さんの独創的な発想に結び付くはずです。